教科書会社、五輪の「主役世代」にメッセージ
招致スピーチや記録予想も、各教科に五輪の関連記述を
2020年の開催が決まった東京五輪、パラリンピック。検定結果が公表された教科書は同年まで使われる予定で、来年最初に配布される中学生は20歳手前で開催を迎える。教科書会社は「五輪の主役になる世代。将来に向け夢を膨らませるきっかけにしたい」と話し、メダリストらの写真を多用したり、数学で世界記録を予想させたりと、多くの教科で工夫を凝らして関連記述を取り上げた。
教育出版は国際オリンピック委員会総会で感動的な招致スピーチをした、パラリンピック陸上女子選手の佐藤真海さんが半生をつづった文章を現行本より増量して、中3国語に掲載。スピーチや東日本大震災に関するエピソードを盛り込んだ。担当者は「ハンディに負けず、夢を持って試練を乗り越える姿勢は、生きる力を考える教材としてふさわしい。スピーチで佐藤さんを知った子供も多く、より意欲的に読んでもらえるのでは」と期待している。佐藤さんは英語や社会にも登場した。
啓林館は中2数学で、過去の五輪の100メートル走優勝記録の推移を記した表を基に、東京五輪で記録されるタイムを予想させる問題を出題。社会では五輪の歴史や理念に加え、1964年の前回東京五輪当時の人口やGDPと現在のデータを比較して、20年の日本社会について考えさせる特集も組まれた。