箱根の主役、実業団の住友電工で新たな挑戦


「東京五輪へ代表を」、マラソン育成を目指す渡辺康幸新監督

箱根の主役、実業団の住友電工で新たな挑戦

実業団の住友電工陸上部監督に就任した渡辺康幸氏(中央)。左は松本正義社長、右は松本俊裕総監督=19日、東京都内

 早大競走部の駅伝監督を11年間務めた渡辺康幸氏が、4月から実業団の住友電工で監督となる。1990年代から選手、監督として大学長距離界の中心にいた41歳。「東京五輪でマラソン代表を出したい」と新たな挑戦に意欲を燃やす。

 早大のエースとして箱根駅伝で活躍し、総合優勝にも貢献。監督としては2004年の就任当初こそ低迷期を経験したが、10~11年に華々しく大学駅伝3冠を達成した。「駅伝としては一通り結果を残したと思っている」と胸を張る。

 今後は大学駅伝をステップに、マラソンで世界の大舞台に挑む選手の育成に取り組む。背景にあるのは、現役時代に悔いを残す「世間の期待を裏切った」との思い。ユニバーシアード1万メートルで金メダルを獲得し、アトランタ五輪代表にも選ばれたが、度重なる故障もあって実業団では大成できなかった。「箱根で育った選手を世界に旅立たせたい」。抱負には実感がこもっている。

 住友電工の松本正義社長は「東京五輪まで5年しかない。世界的な選手を育てないといけない」と述べ、マラソン強化を重視する新監督を支援する。渡辺氏は「日本のマラソン界は練習パターンが少ない。何か改革をしたい」との気概を持って新境地を目指す。