後藤さん母石堂順子さん「健二の命を救って」
東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見
過激組織「イスラム国」とみられるグループが日本人2人の殺害を警告した事件で、人質となったジャーナリスト後藤健二さん(47)の母石堂順子さん(78)が23日午前、東京都内で記者会見し、「健二はイスラム国の敵ではありません。命を救ってください」と訴えた。
会見は東京・有楽町の日本外国特派員協会で開かれ、国内外の多くのメディアが参加した。順子さんは冒頭、「日本国民や政府にご迷惑をお掛けし、心からおわびします」と陳謝。「この3日間、ただただ何が起こっているのか分からず、悲しく、迷っていた」と苦しい心境を吐露した。
順子さんによると、後藤さんは出発の約2週間前に子供が生まれたばかりだった。順子さんと電話で話した後藤さんの妻は、「先に拘束されている知人を救出するため、何が何でもと飛んで行ってしまった」と説明していたという。
順子さんは「乳飲み子を置いて行った健二に憤りを感じた。子供を守るのは親しかない」と語った。一方で、取材で海外に行く前に順子さんには連絡していなかったことを明かし、「幼い頃から心が優しく、親思いな子だった。心配を掛けまいとしたんだろう」と思いやった。
時折、声を詰まらせながら、「健二は会って話し合えば分かると判断し、現地に行ったんだと思う。イスラム国の敵ではありません」と繰り返した。ユニセフの活動に協力するなど子供の教育に熱心だったことも挙げて、「無事で帰ったら世界を回って次の世代の教育に携わってほしい。皆さんのお力でどうか命を救ってください」と涙ながらに訴えた。