「銃を楽器に、弾丸を鉛筆に」平和への願いを
大きく羽ばたくアフガニスタンの若手芸術家
銃を楽器に、弾丸を鉛筆に。アフガニスタンの若手芸術家アジム・ファクリさん(25)は、平和への願いを絵筆に込める。タリバン政権崩壊から13年、米軍を中心とする国際部隊の対テロ作戦にもかかわらず、今も多くの命が失われる。「希望が抱ける平和な未来が欲しい」。ファクリさんの思いは共感を呼び、その作品は世界で認められつつある。
「声なき声を伝えたい」。ファクリさんは首都カブールに生まれ、3歳から約10年間、イランで育った。2002年に帰国し、長年の戦火を経た祖国の荒廃ぶりに心を痛めた。
平和と人権をテーマに、武器と希望の象徴をモチーフにした絵を描き始めた。祖国への無償奉仕と思いを込め、作品には「カブール・ナイツ(カブールの騎士)」と署名するようになった。
これまでに150以上の作品を発表。さまざまなコンテストにも応募し、14年8月にはアフガン復興支援団体「アフガン未来研究所」による若手芸術家賞を受賞した。
創作の原動力となるのが、祖国への強い思いだ。「テロや汚職。世界ではアフガンの負の出来事ばかり報じられるが、国民は平和を愛し、貧しさやつらい現実に負けず精いっぱい生きている」とファクリさん。アフガンの良さを世界に伝えるとともに、未来に向かう国民の背を押したいと願っている。(ニューデリー時事)