3教授がストックホルム大でノーベル賞記念講演


「感動忘れぬ」赤崎さん、「恩師に感謝」天野さん、「私がベスト」中村さん笑い

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ノーベル賞の記念講演を終えた(左2人目から)中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授、赤崎勇名城大教授、天野浩名古屋大教授=8日、スウェーデン・ストックホ

 青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞する赤崎勇名城大教授(85)と天野浩名古屋大教授(54)、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授(60)が8日午前(日本時間同日夕)、ストックホルム大で恒例の記念講演を行った。研究の基礎を築いた赤崎さんは現地入り後、公の場で初めてスピーチした。

 3人のうち、まず赤崎さんがつえを手に登壇。「私の名前はレッド(赤)を意味しますが、本日はブルーライト(青色発光)についてお話しします」とユーモアを交え話し始めた。

 カギとなる窒化ガリウムの結晶作製に着目し、挑戦から12年かかったことを紹介。「理想的な結晶を目にした時の感動は今も忘れることができない」と語った。「度重なる失敗を乗り越え、最適条件を見いだした天野君の執念のたまもの」と教え子をねぎらうことも忘れなかった。

 続いて登壇した天野さんは、立ったまま身ぶり手ぶりを交えて講演。1988年に名大で開かれた応用物理学会で、窒化ガリウムを使った発光現象を発表した部屋には赤崎さんも含めて4人しかおらず、注目度が低かったエピソードを紹介し、笑いを誘った。

 天野さんは「先見の明と工学者としての直観、研究をやめなかった強い信念があって初めて、若い人間が研究に没頭できた」と赤崎さんに感謝し、「私はとても幸運だった」と述べた。

 最後に登場した中村さんは、早口で窒化ガリウムの高品質結晶を作製する手法を開発したことを説明。「それまでは赤崎さんと天野さんがベストの結果を得ていたが、この発明で私がベストになった。赤崎さん、天野さん、申し訳ありません」と笑顔で語り掛け、会場を沸かせた。(ストックホルム時事)