ノーベル賞の天野さん、「恩返し」思い胸に


少年期に看病してくれた祖母の天野けんさん、感謝を胸に授賞式へ

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ノーベル物理学賞を受賞する天野浩名古屋大教授の思い出を語る母の祥子さん=11月1 日午前、浜松市中区

 青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞を受賞する名古屋大の天野浩教授(54)には、恩返しをしたいと思う人がいる。病気がちだった少年時代に看病してくれた父方の祖母、天野けんさん(故人)。自分を支えてくれた大切な人への感謝を胸に、10日の授賞式に臨む。

 天野さんは幼稚園から小学校低学年ごろまで、よく体調を崩した。母祥子さん(79)は「おなかを壊したり、風邪を引いたりということがけっこう多かった」と振り返る。

 高熱を出して学校を休むこともあったが、両親は共働き。祥子さんは思うように休みが取れず、つらい思いをした。

 そんな時、天野さんのそばで看病したり、病院に連れて行ったりしてくれたのが、浜松市の実家近くに住んでいた祖母けんさんだった。

 教育やしつけも「どちらかというとおばあちゃん任せ。育てていただいた部分が多い」と祥子さんは話す。

 天野さんは「一番世話になった。本当に助けてもらった」とけんさんへの思いを語る。「人の役に立つという気持ちが原動力」とよく口にする天野さんだが、「人」の中には祖母が含まれている。

 けんさんは、天野さんが中学2年の時に他界した。「いつか(恩返しを)したいと思っていたが…」。遠くを見詰めながら、その後の言葉は続かなかった。(ストックホルム時事)