「行け、はやぶさ2」、種子島で打ち上げ成功
「はやぶさ」ファンら700人が拍手と涙で見送り
雲の隙間から日が差し、暖かく感じられる鹿児島県・種子島宇宙センター。「3、2、1、0」。発射台から約3キロと最も近い恵美之江展望公園の一般見学場では3日午後、打ち上げを待ち焦がれた「はやぶさ」ファンら700人がカウントダウンに声を合わせ、成功を祈った。
「はやぶさ2」を搭載したH2Aロケット26号機は雲の隙間を縫い、ごう音とともに空を昇った。2度の打ち上げ延期にめげず集まった人たちは「すごい、すごい」と歓声を上げ、拍手しながら白煙が残る空を見続けた。
長野県中野市からキャンピングカーで訪れた自営業関谷正志さん(67)は、打ち上げを初めて見た。「はやぶさ2が帰還する時、孫ときょう、この場で見たことを話したい」と感激した様子。孫の武井俐乃君(4)は「ひゅーって飛んでった。かっこよかった」と目を大きくした。
打ち上げ延期のおかげで見学に来ることができたという福岡市の自営業吉田清美さん(51)も「子供たちを連れて来られてよかった。生は迫力が違う」と興奮気味に話した。
仙台市の東北大大学院1年高橋良介さん(23)は、宇宙好きの仲間と見学した。H2Aロケットが飛び立った瞬間に涙がこぼれ、「行け、行け」と自然に拳を握っていたという。
初代はやぶさは、さまざまなトラブルに見舞われた。研究者らがアイデアを出し合って無事帰還を果たしたところに引かれ、ロケットエンジンの研究を始めたという高橋さんは、「ロケットを絶対にやりたい」と決意を新たにしていた。