菅原文太さん死去、81歳


映画「仁義なき戦い」「トラック野郎」シリーズ

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有機農業についてインタビューに応じ、「農業は格闘。失敗も挫折もある。だけど、ここで戦い続けなきゃ」と語っていた菅原文太さん=2012年7月、東京都中央区

 「仁義なき戦い」「トラック野郎」などの映画シリーズで知られた俳優の菅原文太(すがわら・ぶんた)さんが11月28日午前3時、転移性肝がんによる肝不全のため東京都内の病院で死去した。81歳だった。仙台市出身。葬儀は家族で済ませた。

 早大中退後に劇団四季やモデルの仕事などを経て、1958年に新東宝の「白線秘密地帯」で俳優として本格的にデビュー。2枚目で鳴らしたが、同社が倒産し、松竹を経て東映に移籍した。任侠(にんきょう)路線の主演俳優として頭角を現し、73年から始まった故深作欣二監督の「仁義なき戦い」シリーズが大ヒット。現代的な中に昔かたぎのムードを漂わせた演技で、それまでの任侠映画とは異なるリアルなやくざ像を描き出し、同社を代表するスターの一人となった。続いて主演した「トラック野郎」シリーズでは、荒っぽいが気のいいトラック運転手をコミカルに演じ、10作を数える人気シリーズとなった。

 「ダイナマイトどんどん」「太陽を盗んだ男」「青春の門」「鹿鳴館」などの映画に加え、ドラマにも積極的に出演。NHK大河ドラマ「獅子の時代」(80年)では主演を務めた。その後も宮崎駿監督のアニメ映画「千と千尋の神隠し」(2001年)の声優や、ラジオのパーソナリティーなど広範なフィールドで活躍。近年は山梨県内で農業に従事する一方、各地で講演活動を行い、社会問題について積極的に発言を続けていた。

 山田洋次監督の「東京家族」(13年公開)に主演が予定されていたが、クランクイン直前に東日本大震災が起きたことなどを理由に降板。12年には俳優業からの引退を表明していた。