JAXA、「はやぶさ」技術で電力制御し節約に


消費ピーク抑制、ビルなどへの普及を目指す

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が小惑星探査機「はやぶさ」の経験に基づき、家庭やビルなどのピーク電力を簡素なシステムで抑える新技術を開発し、プロジェクトを率いた川口淳一郎教授が電気設備メーカー「エネゲート」の千里丘事業所(大阪府摂津市)で17日、企業関係者向けに講演した。

 家庭やビルなどの消費電力は昼夜や季節、天気などによって変動するが、ピーク時を想定して契約し、電力会社もピークに応じた発電体制を維持するため無駄が多い。川口教授らはJAXAのベンチャー制度に基づき法人を設立する方針で、共同で本格的な技術開発を行う企業を募集している。

 小惑星の砂粒を史上初めて採取し、地球に回収したはやぶさは、太陽電池で発電した電力の大半をイオンエンジンに安定供給する一方、機体各所に多数あるヒーターのオン、オフの繰り返しにも対応しなければならなかった。

 川口教授らはこの経験を踏まえ、各種機器の消費電力情報を集中管理して制御するのではなく、全体がピークに迫ると各種機器に一斉に知らせ、優先順位に応じて機器ごとに制御する「分散電力制御」技術を開発した。

 エネゲートの事業所にはマンションの室内が再現され、エアコンや電気調理器、照明などを分散制御する実験が公開された。同社の多山洋文社長が「分散制御を導入する費用対効果はどうか」と質問したのに対し、川口教授は「送電や受電の設備投資を低減でき、長期的には元が取れる」と説明した。