忘年会、衆院解散でお預け?


飲食・小売業界、消費に「冷水」懸念

忘年会、衆院解散でお預け?

2年前の総選挙では忘年会のキャンセルがあったサッポロライオンのビアホール=20日午後、東京都中央区のビヤホールライオン銀座7丁目店

 安倍晋三首相が21日に衆院を解散し、師走の総選挙に向けて日本中が動きだす。年末は忘年会や歳末商戦で消費が盛り上がる「稼ぎ時」だが、今年は選挙のあおりで客足や売れ行きが鈍らないか、関係者は気をもんでいる。

 影響が比較的大きいとみられるのは、居酒屋など飲食業界。前回総選挙があった2012年12月の外食産業の売上高を見ると、「パブ・居酒屋」は前年同月比5・1%減で落ち込み幅が大きかった。

 ビアホールを運営するサッポロライオン(東京)は、12年には「選挙で忘年会のキャンセルがあった」(経営戦略部)と振り返る。ただ、投開票が終わった中旬以降は再び予約が入って少し巻き返したといい、今年も販売促進策などに取り組む考えだ。

 居酒屋がさえないのと同様に、酒も厳しい。例えば、12年12月のビール販売量は2・8%減。特に贈答用が6・3%減と落ち込んだ。関係者からは「選挙で酒(の売り上げ)にいい影響はない。『商戦』が一番大きいこのタイミングでやる意味が分からない」(小泉敦サントリー酒類社長)と、恨み節も聞こえてくる。

 投票日がボーナス商戦のピークに重なる百貨店各社も、来店客の減少を懸念する。歳暮などの贈答品に関して「選挙中は疑われないように、特に地方では自粛する動きがある」(井出陽一郎日本百貨店協会専務理事)といい、年の瀬の不安材料となりそうだ。