羽生結弦が気力の演技、アクシデントに屈せず


中国杯フィギュアで2位、フリー直前の練習で負傷

羽生結弦が気力の演技、アクシデントに屈せず

男子フリーで演技する羽生結弦=8日、上海(AFP=時事)

 SP2位で迎えたフリーの直前6分間練習。羽生は滑走中に中国の閻涵と激突。頭やあごを負傷し、一時氷上に倒れ込んだ。

 棄権をしても不思議はなかったが、オーサー・コーチによると、羽生は直後には出場を決意していたという。頭にはテーピング。痛々しい姿でリンクに立った。

 気力だけだっただろう。冒頭の2種類の4回転ジャンプにも果敢に挑んだが、転倒。新たに組み込んだ後半の4回転こそ回避したが、残りは予定通り挑み、計5度転んだ。

 それでも立ち上がり、4分半、最後まで演技し続けた。大会前から腰の状態も万全でなかったが、フリー2位で合計でも2位。今季初戦を飾れなかったことより、改めて精神力の強さを示した。中国のファンも大きな歓声を送った。

 頭を打ちながら出場したことは、今後への悪影響の可能性も考えれば、決して美談で済まない恐れもある。だが、オーサー・コーチが「彼は決意のある男」と評したように、逆境に負けない気持ちこそが、ソチ五輪金メダリストにまで昇り詰めた原動力とも言える。

 次戦は3週間後のNHK杯。そこで、元気な姿を見せられるか。演技が終わると、治療のために運ばれていった。(上海時事)