スケートカナダ、フリー曲「オペラ座の怪人」で逆転優勝

フィギュアのスケートカナダで逆転優勝した無良崇人（中央）＝１日、カナダ・ケロウナ（時事）

　フリーで自己ベストを大きく更新する１７３点台。高得点を知った無良は、タオルで顔を覆って肩を振るわせた。「もう少し時間をかけていかないと出ないと思っていた。正直驚いた」。力を出し切った充実感が体を突き抜けた。

　ＳＰで首位フェルナンデスと３・７９点差。十分に逆転可能な分、ミスの許されない重圧をはねのけた。冒頭の４回転を連続で成功させて波に乗る。力感あふれるジャンプを連続で成功させ、最後まで落ち着いた滑りを披露した。ほぼ完璧な内容に、フェルナンデスが「信じられない滑り。自分はベストを尽くしたが、彼が上だった」と脱帽。圧巻の逆転劇だった。

　多くの選手が使用するフリー曲「オペラ座の怪人」で、男性らしい表現を意識して独自性を追求する。既婚で父親でもある無良。「家族、愛する人を頭に置いて演技をすることを心掛けた。（他選手と）比較されてもひけを取らないものを目指した」。ダイナミックかつ繊細な演技でファントム（怪人）の愛を表現。観客総立ちの拍手は、思いが伝わった証しだった。

　目立ったミスもなく、今季テーマとする「大人の安定感」も実践。「失敗してはいけない、という不安に負けることなく最後までやれた。しっかりやれば、この順位と点数が出る」。そして、自信を深めた勝利を端的な言葉でまとめた。「今までで一番いい試合だった」（ケロウナ時事）