インドネシア・スラウェシ島の壁画、世界最古級か


オーストラリア研究者ら「推定4万年前」

インドネシア・スラウェシ島の壁画、世界最古級か

インドネシアのスラウェシ島で、手などが描かれた壁画(科学誌ネイチャー提供、AFP=時事)

 オーストラリアやインドネシアの研究者らは9日、インドネシア・スラウェシ島南部の洞窟の壁画が推定で約4万年前に描かれたことが分かったとの調査結果を発表した。「世界最古級の壁画の一つ」で、洞窟壁画は欧州で発達したとの通説の再考につながりそうだ。

 手の輪郭やイノシシ科の動物が描かれたスラウェシ島の壁画は1950年代に発見されたが、描かれたのは古くても1万年前と推定されていた。研究チームは今回、絵の表面を覆う炭酸カルシウムをウラン年代測定法で調査。一部の壁画は、遅くとも3万9900年前に描かれたと確認した。

 約4万前に描かれたスペイン北部の洞窟壁画が世界最古とされる。豪グリフィス大の研究者は「壁画といった初期の創作活動は欧州を中心に発達したと考えられてきたが、地球の反対側のスラウェシ島でも同時期に壁画が描かれていた」と指摘。アフリカに出現した現生人類が壁画を描き始め、各地へもたらしたとの見方も示した。研究成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。(シドニー時事)