世界体操で内村が金字塔、王者らしい6種目
個人総合で5連覇、田中は殻破り世界に羽ばたく銅メダル
内村が、当然のように金字塔を打ち立てた。自身の記録を更新する個人総合5連覇。「自分らしい演技をしたい」。その言葉通り、王者にふさわしい6種目を積み上げた。
最初は得意のゆか。跳躍の着地を全て止めて流れに乗り、中国の観客をどよめかせた。落下の心配があるあん馬を乗り越えると、ほっとしたような笑み。つり輪、跳馬の着地も完璧に決め、2位以下を突き放した。平行棒は倒立が乱れかける場面もあったが持ちこたえ、最後の鉄棒も集中力を切らすことはなかった。
3歳から体操に没頭し、常に理想を追求。イラストを描いてイメージを膨らませ、トランポリンで体に覚えさせた。敵なしのオールラウンダーでありながら、ゆかや平行棒ではスペシャリストの域に達した。
2009年大会で初めて世界一に輝いてから丸5年。05年メルボルン大会個人総合王者の冨田洋之氏(現国際体操連盟技術委員)は「これだけ長く優勝すると、普通は内村の演技に周囲が飽きてしまうが、飽きさせない。別次元の戦いをしている」と、そのすごさに舌を巻く。
25歳。本番への気持ちの盛り上げ方に苦労し、腰の筋肉がわずかに硬くなるなど、年齢を重ねるごとに変化はある。それでも、昨年からゆか、つり輪、平行棒で技の難度を上げ、「今年を乗り越えれば、リオデジャネイロ五輪につながる」。意欲は衰えるどころかますます高まっている。進化を続ける王者に陰りは見えない。(南寧時事)