世界体操で内村が金字塔、王者らしい6種目


個人総合で5連覇、田中は殻破り世界に羽ばたく銅メダル

世界体操で内村が金字塔、王者らしい6種目

男子個人総合の表彰式でメダルを手に笑顔を見せる優勝の内村航平(左)と3位の田中佑典=9日、中国・南寧(時事)

世界体操で内村が金字塔、王者らしい6種目

男子個人総合決勝、内村航平の平行棒の演技=9日、中国・南寧(時事)

世界体操で内村が金字塔、王者らしい6種目

男子個人総合決勝、鉄棒の演技を終えてガッツポーズする田中佑典=9日、中国・南寧(時事)

 内村が、当然のように金字塔を打ち立てた。自身の記録を更新する個人総合5連覇。「自分らしい演技をしたい」。その言葉通り、王者にふさわしい6種目を積み上げた。

 最初は得意のゆか。跳躍の着地を全て止めて流れに乗り、中国の観客をどよめかせた。落下の心配があるあん馬を乗り越えると、ほっとしたような笑み。つり輪、跳馬の着地も完璧に決め、2位以下を突き放した。平行棒は倒立が乱れかける場面もあったが持ちこたえ、最後の鉄棒も集中力を切らすことはなかった。

 3歳から体操に没頭し、常に理想を追求。イラストを描いてイメージを膨らませ、トランポリンで体に覚えさせた。敵なしのオールラウンダーでありながら、ゆかや平行棒ではスペシャリストの域に達した。

 2009年大会で初めて世界一に輝いてから丸5年。05年メルボルン大会個人総合王者の冨田洋之氏(現国際体操連盟技術委員)は「これだけ長く優勝すると、普通は内村の演技に周囲が飽きてしまうが、飽きさせない。別次元の戦いをしている」と、そのすごさに舌を巻く。

 25歳。本番への気持ちの盛り上げ方に苦労し、腰の筋肉がわずかに硬くなるなど、年齢を重ねるごとに変化はある。それでも、昨年からゆか、つり輪、平行棒で技の難度を上げ、「今年を乗り越えれば、リオデジャネイロ五輪につながる」。意欲は衰えるどころかますます高まっている。進化を続ける王者に陰りは見えない。(南寧時事)