ノーベル賞受賞の中村修二さん、勝因は「怒り」
「グローバリゼーションが苦手」、日本企業に苦言も
青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞の受賞が決まった米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二さん(60)は7日、同校で記者会見し、「怒りがすべてのモチベーションだった。怒りがなければ何も成し遂げられなかった」と研究生活を振り返った。
会見には各国メディアや大学関係者ら約200人が出席。「研究当初は受賞を予想していたか」との質問に対し、中村さんは「(日亜化学工業の社員時代に)フロリダ大に留学した時は、青色LEDの開発ではなく、博士号を取るのが夢だった」と笑いを誘った。
中村さんが1993年に青色LEDの量産技術を開発したことをきっかけに、各方面でLED実用化に向けた動きが加速。「多くの研究者が加わり、スーパーでもLEDランプが買える時代になった」と誇らしげに語る。LED分野の当面の研究課題として、5割にとどまっている電力から光への変換効率を、6割に向上させることに意欲を見せた。
社員時代は青色LEDの開発に孤軍奮闘。退職後は発明の対価をめぐって日亜化学と裁判で闘った中村さんは、鋭い言葉で日本の研究環境や企業を批判してきた。会見では米国を研究拠点に選んだ理由について「研究者に多くの自由が与えられ、一生懸命やれば、みんなにチャンスがある」と語り、「日本では性別や年齢などの差別により、全員にチャンスがあるわけではない」と残念がった。
さらに「日本では発明は多いが、企業がグローバリゼーション(世界的な拡大)が苦手。携帯電話など最初は良い製品を作っても敗北している」と指摘。「誰もが起業できるよう規制やシステムを見直すべきだ」と日本政府に注文した。
2000年にノーベル物理学賞を受賞した同校のハーバート・クレーマー名誉教授も姿を見せ、「中村教授は受賞すると思っていた。本校6人目の受賞で、大変誇りだ」と喜んだ。
大学では中村さんを囲んで祝賀パーティーが開かれ、学生たちが中村さんに駆け寄って記念撮影を求めるなど祝福ムードに沸いた。(サンタバーバラ〈米カリフォルニア州〉時事)