日本の漆文化の魅力ををニューヨークで発信


岩手県二戸市が主催、「匠の技」も披露

日本の漆文化の魅力ををニューヨークで発信

日本の漆器などを紹介するセミナーで漆の作品を展示するスザーン・ロスさん(左)=6日、米ニューヨーク(時事)

 日本の漆文化の魅力を米国で紹介するセミナーが6日、ニューヨークの日米交流団体ジャパン・ソサエティーであった。会場では専門家による実演も行われ、200人以上の参加者は「匠(たくみ)の技」に見入った。

 セミナーは、希少となった国産漆を代表する浄法寺漆の産地、岩手県二戸市が主催。米国で和食や日本酒がブームとなる中、国内販売が低迷する漆器の販売先として米国に活路を見いだす狙いがある。

 市が運営する工房で働く市職員の小田島勇さん(41)は、わんに漆を塗る作業を披露。米国での交流を通じ人々が熱心に耳を傾ける姿が印象深かったと振り返り、「世界に向けて発信できた」と手応えを感じたという。

 割れた陶磁器を漆などを使って修復する「金継ぎ」を紹介した京都市出身でニューヨーク在住の更谷源さん(34)は「修復の技術も米国に合わせる形で使えば需要はある」と語った。

 輪島塗で知られる石川県輪島市に20年以上住む英国出身の漆芸家スザーン・ロスさん(52)は講演で、漆器販売が低迷したのは日本の社会が急速に変化したことが一因と分析。「外国人が興味を持てば日本人も再び評価するだろう」と話した。(ニューヨーク時事)