守った綱のプライド、白鵬は勝って悠然
大相撲秋場所1敗同士の対決で、新入幕の逸ノ城を下す
白鵬が横綱のプライドを守った。賜杯の行方を左右する新鋭との相星対決。「何よりいい勝ち方だった」。頬を膨らませ、大きく息を吐いた。
結びの一番。1横綱2大関を破った逸ノ城をがっちり受け止めた。素早く右を差して左の前まわしをがっちり。ぐっと引き付けて左上手を与えない。じっくり体勢を整えて圧力をかけ、寄り返そうとする相手を出し投げで転がした。北の湖理事長(元横綱)は「横綱の面目を守ったのではないか」。こちらもほっとした顔を見せた。
横綱の責任を自覚している。自身の若い頃を思い出すという大器を退け、「意地というか、いい壁になるという気持ちがあった」。はね返してこそ、本当の意味で後進の成長が促される。
一方で、急成長する若手の挑戦に心がざわついていたのも確かだった。硬かった表情が和らいだのは、戻った支度部屋で「若手との優勝争いは、うれしいか」と問われた時。「終わってみれば、いい緊張感だった。来場所も活躍してもらいたい」
定位置の単独トップに復帰。歴代2位に並ぶ31度目の優勝が懸かる千秋楽へ向け、「一生懸命やるだけ」。悠然と決意を述べた。