映画「祝宴!シェフ」


出張料理人を描く、人情喜劇

映画「祝宴!シェフ」

全国宴席料理大会に出場するシャオワン(キミ・シア、中央)とその仲間たち=©2013 1 PRODUCTION FILM COMPANY.ALL RIGHTS RESERVED.

 包丁一本を持って、用意された食材で宴席料理を提供する出張料理人の物語。台湾を代表するヒットメーカー、チェン・ユーシュン監督の作品で、16年ぶりの新作。

 台湾では祝いごとがあると屋外で宴が開かれる。そこで腕を振るうのが総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる、もてなしの心を極めた出張料理人。

 “神”と称された伝説の料理人を父に持つ娘のシャオワンは、料理を嫌い、モデルを夢見て家を飛び出したが、夢破れて帰郷。

 時代の趨勢(すうせい)で衰退の一途をたどっていた宴席料理だが、シャオワンは父のレシピノートに遺された料理への思いに心動かされ、返り咲きを懸けた全国宴席料理大会へ出場を決意する。だが、料理は初心者。果たして、究極の料理にたどり着くことができるのか。

 シャオワン役は人気バラエティー番組から映画デビューしたキミ・シア。容姿は日本の米倉涼子を彷彿とさせる。伝説の料理人の妻アイフォンを演じたリン・メイシウの風貌は藤山直美。シャオワンに影響を与える道化師役は、監督兼脚本家として知られるウー・ニエンチェンだが、その表情は間寛平。大会でシャオワンと対決する鬼頭師キン・ジェイウェンは近藤正臣と重なる。

 登場人物がこれだけ日本の俳優陣とそっくりというのも珍しい。思わず笑ってしまうドタバタ喜劇だが、日本の観衆にはもう一つの意外な楽しみがある。(佐野富成)