開幕戦で西村雄一主審、勝負を分けた判定


ブラジル-クロアチア戦で初の大役、議論を呼ぶPK

開幕戦で西村雄一主審、勝負を分けた判定

ブラジル戦の後半にPKを宣告し、クロアチアの選手に詰め寄られる西村雄一主審(左)=12日、サンパウロ(AFP=時事)

 開催国ブラジルはもちろん、世界中の注目を浴びる開幕戦。その重要な一戦を日本人として初めて任された西村雄一主審の笛が、議論を呼ぶことになった。

 ほぼカナリア色に染まったサンパウロ・アリーナには6万2000人を超える大観衆。厳しい目を持つ本場のサポーターを前に、相楽亨、名木利幸両副審を含めた3人は毅然(きぜん)とした判定を貫いていたが、問題の場面は1-1の後半26分に訪れた。

 クロアチアのロブレンがペナルティーエリア内で、ボールを受けたフレジをマーク。この際、ロブレンの手が相手にかかったようにも見え、フレジが自分から転んだようにも見えた。微妙なシーンだった。それでも、西村主審は迷わずPKの判定。クロアチア選手からは、試合後にも猛抗議を受けることとなった。

 クロアチアのコバチ監督は「ホームでやれば有利だけど、ルールは両チームのためにある。こういうことが続けば、大会はサーカスと化す」と恨み節。西村主審は大会前に「勇気を持って挑戦し、その中で選手に勝敗を受け入れてもらえるよう頑張る」と話していた。晴れの舞台でその勇気を示した本人は、何を思ったのか。笑顔でピッチに入場したときとは対照的に、試合後の表情は険しかった。(サンパウロ時事)