こだわりコーヒー店が増加
外食大手参入、業態超えた争い
豆の産地や栽培方法、抽出方法にこだわったコーヒー店が増えている。以前は主に個人経営の喫茶店が提供していたが、最近は大手外食チェーンが参入。コンビニエンスストアのいれたてコーヒーが急拡大し、業態を超えた客の奪い合いとなっていることが背景にある。
外食大手ロイヤルホールディングス(HD)の子会社は、11日に開業する超高層ビル「虎ノ門ヒルズ」(東京都港区)に、2店舗目となる「スタンダードコーヒー」をオープンする。生産農家や流通経路が明確な豆だけを使い、従業員が一杯ずつ手でいれるハンドドリップコーヒーが売り物。ロイヤルHDは「客に選ばれる個性が必要」と、新業態に挑戦する理由を説明する。
スターバックスコーヒージャパンは、東京都内の住宅地にオープンした「インスパイアード バイ スターバックス」で、こだわりのコーヒーを出している。豆の種類や抽出方法を選べる。今年3月までに3店舗開店。同社は「スタバに続く業態を確立するため、いろいろ試みつつ理想的な店舗像を模索する」と意気込む。
このほか、キーコーヒー子会社が4月に東京駅一番街にキッシュと手いれコーヒーを出す「ファリ・ブゥール」を出店。プロントコーポレーション(東京)の「プロント」は5月から、希少価値の高い「ゲイシャ種」豆を使ったアイスコーヒーを数量限定で売り出した。
ただ、豆へのこだわりから量の確保が難しく、いれる手間もかかるため効率性を重視するチェーン店にはなじまない面もある。「こだわり」が競争を勝ち抜く武器になるか、今後も各社の手探りが続きそうだ。