映画「オールド・ボーイ」
過酷で悲しい復讐の物語
復讐劇は数多く製作されてきたが、謎に満ちた独創的なストーリーで読者を虜にしたのが、土屋ガロンと嶺岸信明の原作コミック8巻。90年代後半の作品だが、2003年に韓国のパク・チャヌク監督によって映画化されると、情感豊かな傑作としてカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。
今回の作品は監督スパイク・リーが舞台を米国の架空の街に移して製作したハリウッド版で、新たな解釈を加えて、過酷で悲しい物語として仕上がっている。
1993年10月、広告代理店の重役ジョーは結婚生活に破れて、妻と3歳の娘とは離れて暮らしていた。傲慢(ごうまん)でアルコールに溺れやすく、大切な商談もぶち壊し。そんな雨の夜、泥酔して中華街をさまよっていると、東洋系の美女に誘惑されて、気が付いたら安ホテルのような一室にいた。
出される食事は餃子とウオッカ。ジョーは何者かによって監禁されたことを知る。部屋にはテレビがあって、ニュースが流れてくる。そのニュースで妻が自宅で殺され、自分が犯人にされたことを知る。99年にはテレビの番組で、娘ミナがある夫婦に引き取られたことを知らされ、チェロを弾いている姿が放映された。
ジョーは真犯人を突き止めてミナと再会を果たすため、断酒して、トレーニングに励んだ。そして20年目に突如、解放される。なぜ監禁されたのか。犯人は誰なのか。手にしたスマートフォンに犯人から連絡が入る。(岳)