関連本が好調、「ウクライナを考える契機に」


高まるロシアやウクライナへの関心、書店に特別コーナーも

関連本が好調、「ウクライナを考える契機に」

ロシアのウクライナ侵攻を受け、紀伊国屋書店新宿本店に設けられた関連書籍の特別コーナー=10日、東京都新宿区

 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、両国への関心が高まり、関連する書籍の売り上げが急増している。「考えるきっかけにしたい」と足を運ぶ人が多く、書店では急きょ特別コーナーを設置。出版社には問い合わせが殺到し、増刷が追い付かないほどだ。

 児童書専門店「クレヨンハウス」(東京都港区)では侵攻が始まった2月24日以降、「何かメッセージを発信したい」との思いから、ウクライナ民話から生まれた絵本「てぶくろ」を「平和」のコーナーに移動させた。「てぶくろ」は落とした手袋に動物たちが次々と入っていく物語。日本では1965年に出版され、累計販売部数が320万部を超えるベストセラーだ。ロシアの昔話に基づく絵本「おおきなかぶ」も一緒に並べ、「どちらも平和になってほしい」との願いを込めた。

 「てぶくろ」を買いに来た都内の会社員白江恭子さん(24)は、「ロシアでもウクライナでも一人ひとりは平和を願っているはず。まずは知ることから」と話した。

 紀伊国屋書店新宿本店(新宿区)では3月から、地政学やプーチン大統領に関する本を集めたコーナーを設置した。反響は大きく、「関連書なら何でも売れている」(担当者)状況だという。

 出版社にも問い合わせが相次ぐ。岩波書店では、ノーベル文学賞を受賞したウクライナ生まれのベラルーシの女性作家、スベトラーナ・アレクシエービッチさんの「戦争は女の顔をしていない」(岩波現代文庫)の注文が通常の3倍に上った。中央公論新社は、2002年の黒川祐次・元駐ウクライナ大使の著作「物語 ウクライナの歴史」(中公新書)を増刷した。

 筑摩書房も、連日メディアでウクライナ情勢を解説する小泉悠・東京大専任講師が昨年出した著書「現代ロシアの軍事戦略」(ちくま新書)を3万部追加した。担当者によると「1店舗から100冊を超える注文があった」ほどの勢いで、今後も増刷を予定している。