石原慎太郎さんが遺稿、余命宣告後の心情つづる


文芸春秋が発表、間近に迫る死を「己の季節の終り」と表現

石原慎太郎さんが遺稿、余命宣告後の心情つづる

石原慎太郎さんの遺稿(文芸春秋提供)

 文芸春秋は9日、2月に死去した作家で元東京都知事の石原慎太郎さんが余命宣告を受けた後の心情を文章に残していたと発表した。「死への道程」と題された絶筆で、10日発売の「文芸春秋」4月号に掲載される。

 文芸春秋によると、約2100文字の文章がワープロで打たれていた。昨年10月に病院で余命3カ月と宣告される場面から始まり、「以来、私の神経は引き裂かれたと言うほかない」と記述。間近に迫る死を、自らの出世作「太陽の季節」を引き合いに「己の季節の終り」と表現し、歌手の故美空ひばりさんの歌に触れつつ「いつかは沈む太陽だから」と心境をつづっている。

 同誌の新谷学編集長は「戦う作家はデビュー以来、自らの文学の主題であった『死』といかに向き合ったのか。石原さんの本誌初登場は芥川賞受賞作『太陽の季節』だが、合わせて読むと、見事な起承転結と言うよりほかありません」とコメントした。