コシノジュンコ氏、「心温かい街づくりを」
「都市の豊かさ」をテーマに講演
世界的デザイナーのコシノジュンコ氏が3月31日夜、都内のホテルで「都市の豊かさ」をテーマに講演した。主催は下村博文文部科学大臣を後援する博文会(鈴木靜雄会長)。
コシノ氏はまず、2020年五輪・パラリンピックの開催都市となる東京について「全国に影響する大切な場所」と首都の意味を強調。豊かさとは、安心、安全、余裕などの心の問題が重要であると語った上で、「これからは車など便利さが全てではない。人が中心の心温かい街をつくったらいい」との考えを示した。
また、「パラリンピックとなると心から応援しないといけない。街全体が温かく迎える心ある日本であるべきだ」と訴えた。
コシノ氏はまた、日本橋では高速道路が原因で、世界遺産に登録された富士山が見えないことなどを挙げ、「デザインの基本である整理すること」の重要さを指摘。日本人の感性には引き算の美があり、必要な残すべき物を見極めて「日本の素晴らしい財産を磨いていく」ことが必要だと語った。
さらに、2020年に向けて「経済大国の都市というのを少し横において、文化的な都市をつくっていくべきだ」とした上で、日本独自の文化が花開いた江戸時代の琳派(りんぱ)など日本独自の文化と世界共通の文化をバランスよく取り入れるべきであると指摘。日本人自身がもっと日本に興味を持ち、日本の素晴らしい文化を世界に発信する責任を東京に果たしてほしいと訴えた。