遠山清彦元衆議院議員、違法な仲介を認める
貸金業法違反、公庫、37億円超を融資、審査手続きを優先
登録を受けずに日本政策金融公庫の新型コロナウイルス対策融資を仲介したとして、貸金業法違反(無登録)罪に問われた元公明党衆院議員で元財務副大臣の遠山清彦被告(52)の初公判が14日、東京地裁(丹羽敏彦裁判長)であった。遠山被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた上で、「政治不信を招いたことを深く反省している」と述べた。
遠山被告の違法仲介について、検察側は公庫の貸付額が計約37億2800万円に上り、東北から九州まで16都府県の計34支店が関わっていたことを明らかにした。
検察側は冒頭陳述で、公庫は融資の紹介者が国会議員やその秘書だった場合に審査手続きを迅速に進めるなど特別な対応をしていたと指摘。遠山被告はこうした公庫の対応を前提に、融資の仲介を繰り返したとした。
2020年3月に公庫が始めた新型コロナ対策の特別貸し付けの需要急増を受け、秘書に対し、融資を希望する事業者の紹介依頼に業務として対応するよう指示した。仲介は被告が議員辞職した後も続き、謝礼として得た現金は投資信託の購入費用や生活費などに充てていたと主張した。
検察側は、共に在宅起訴された太陽光発電関連会社「テクノシステム」元顧問の牧厚被告(74)の捜査段階の供述調書も読み上げた。遠山被告に融資仲介を依頼したところ審査がスムーズに進んだとし、牧被告は「飛行機の搭乗口で多数の乗客が待つ中、ファーストクラスで(優先的に)乗り込むようなイメージだ」と説明したという。
起訴状によると、遠山被告は20年3月~21年6月ごろ、貸金業の登録を受けずに、新型コロナの影響で売り上げが減少した企業などへの公庫の融資を計111回にわたり違法に仲介したとされる。うち82回は単独で仲介し、29回は牧被告との共謀に問われた。
事件では計4人が在宅起訴された。牧被告や、別のルートで違法仲介に関わっていた公明党前衆院議員の元政策秘書渋谷朗被告(61)らの公判期日は未定。