仮装通貨投資、容疑者ら預かり証を残さず
高利回りをうたい出資勧誘、配当停止の責任逃れ目的か
投資グループ「ジュビリー」が無登録で暗号資産(仮想通貨)の投資を募っていた事件で、逮捕された会社役員玉井暁容疑者(53)らが、資金を受け取る際、出資者に預かり証などの書類を渡していなかったことが11日、警視庁への取材で分かった。
同庁生活経済課は高利回りをうたった配当を出さず、出資者から返金を求められた場合に責任を逃れようとしたとみて調べる。
玉井容疑者らは「人工知能(AI)の自動取引で高配当を得られる」などと出資を勧誘したとして、金融商品取引法違反の疑いで逮捕された。全国から650億円相当を集めたとみられている。
同課などによると、出資者は資金を投じた後、玉井容疑者らの投資運用会社の専用アプリから自分のアカウントにログインし、配当や取引履歴を確認していた。資金の預かり証や配当の証明書はなかったという。
エステサロンを経営する大阪府の40代女性は、知人に紹介された関西地方の男性警察官から「ゲームのように月利8~9%もらえる」などと話を聞き、英領バージン諸島にあるとされる投資運用会社「ジュビリーエース」に約100万円を出資した。
契約書は交わさないのかと尋ねた際、警察官は「海外の会社なので、日本の法律は適用されず書類は必要ない」と説明。当初は配当を得ていたが、やがて受け取れなくなり、その後警察官とも連絡が取れなくなった。
女性はアプリで取引履歴を確認できたので安心したといい、「知識不足だったが、そういうものだと納得してしまった」と語る。「信頼できる投資運用だと思っていた。お金を返してほしい」と出資を悔いた。