ワクチンの効果、高齢者で抗体量の減少が顕著


福島・相馬市の調査で判明、接種後90日以上で大幅に減

ワクチンの効果、高齢者で抗体量の減少が顕著

新型コロナウイルスワクチンの効果に関する調査結果について記者会見する、福島県相馬市の立谷秀清市長(右から2番目)と英キングス・カレッジ・ロンドン元教授の渋谷健司氏(右から3番目)ら=13日午後、同市役所

 新型コロナウイルスワクチンの2回接種を終えた12~89歳の住民500人に対し血液検査をしたところ、接種から90日を過ぎると感染を防ぐ抗体の量が大幅に減少することが、福島県相馬市の調査で分かった。年齢が上がるほどその傾向が顕著だった。

 医師免許を持ち、全国市長会の会長を務める立谷秀清相馬市長は、公衆衛生学の専門家らを集め、5月に「相馬市新型コロナワクチン接種メディカルセンター」を設置。ワクチンの効果や安全性を科学的に検証し、政府に独自に提言してきた。同センターの調査では、感染を防ぐ能力を示す「中和活性」の値に着目。40歳未満の場合、接種後30~90日の中央値が753だったが、接種後90日以上では106まで下がった。

 接種後90日以上の中央値は、40~64歳が61、65歳以上が44となり、年齢が上がるほど値が下がる傾向が見られた。

 調査に携わった福島県立医科大の坪倉正治教授によると、この値が200を切ると2回接種後に感染する「ブレークスルー」の報告が多く見られるという。ただ、予防効果が下がっても、未接種者より重症化を防ぐ効果は続くとみられる。同センター長を務める英キングス・カレッジ・ロンドン元教授の渋谷健司氏は「特に高齢者で、『第6波』が来たときに2回接種していても感染する人が増えることを懸念している」と述べ、早期の3回目接種の必要性を強調した。