大津中2自殺10年、いじめ根絶へ法改正を
記録を作成、保存、開示を父訴え「教育現場は変わらず」
大津市で2011年、いじめを受けた市立中学2年の男子生徒=当時(13)=が自殺してから11日で10年を迎えた。自殺を契機にいじめ防止対策推進法が制定されたが、父親(56)は「教育現場には変化が見られない」として、改正の必要性を強く訴える。
「息子が命懸けでつくった法律。息子が法律に変わった気持ちで10年を過ごしてきた」。父親はこう語る。この間、各地でいじめ自殺の遺族らを支援する活動を続けてきたが、「学校や教育委員会が資料を隠すなど、変わらない教育現場を再認識する10年だった。法律はあっても子供を守れておらず、怒りと情けなさを感じる」と憤った。
最近も北海道旭川市や東京都町田市でいじめを苦にしたとみられる自殺が相次いで発覚した。遺族が学校や教育委員会の説明に納得せず、第三者委員会が再調査するケースも少なくない。父親は「改正法で教員がいじめに関する記録を作成、保存し、保護者の求めに応じて開示することを義務付ける必要がある」と強調する。
いじめ認知件数は増加を続け、19年度には全国の小中高などで過去最多の61万件となった。父親は「最初は見つかって良かったと喜んでいたが、増え続けているのは根本的な問題を解決できていないからではないか」と疑念を呈し、困難な状況を抱える家庭への支援や道徳教育、教員の意識改革などを求めた。
今年1月、加害生徒らに損害賠償を命じた判決が確定した。父親は「いじめは人を死に追いやる危険な行為だと認められた」と評価。一方で「司法判断の重さが周知されず、教員も十分に認識していない」と指摘した。
元同級生らからは判決確定後も謝罪はないという。父親は「悪いことをしたら反省して謝れる人間にならないと、家庭を持って子供ができたとき、何を教えるのか」と嘆く。「今からでも受け入れる気持ちはある。自らの行為に向き合い、謝罪してほしい」と願っている。