W杯女子ジャンプで高梨沙羅が総合連覇


3連勝・今季11勝目、刻まれた偉業、圧倒の輝き

W杯女子ジャンプで高梨沙羅が総合連覇

W杯ジャンプ女子で今季11勝目を挙げ、2季連続の総合優勝を決めた高梨沙羅(中央)。伊藤有希(右)が3位に入った=1日、ルーマニア・ルシュノフ(時事)

 強さにみじんの疑いもない。メダルを逃して4位に敗れたソチ五輪以来の実戦で、17歳の高梨が圧勝。W杯総合連覇の偉業を遂げた。五輪での敗北感は拭えない。しかし、総合力を示し、成長したシーズンだったこともまた確かだった。

 1回目にただ一人、ヒルサイズを超える100・5メートルを飛ぶと、2回目も99メートルと他を圧倒。ソチ五輪金メダルのフォクト(ドイツ)、銀のイラシュコ(オーストリア)が欠場した中でも、力を見せつけ、「勝てて安心したというか、ほっとした気持ち」と笑顔が戻った。

 今季W杯は14戦11勝で、表彰台は一度も外していない。昨季世界選手権を制したライバル、ヘンドリクソン(米国)が負傷で離脱していたとはいえ、勝ち続けるのは至難の業だ。昨季までの課題だった着地を改善した成果だった。

 一発勝負の五輪では足をすくわれた。追い風にたたられ、着地のテレマークが入らなかった。調子のピークを合わせられなかった悔いもある。4年に一度の大舞台をものにできなかった無念は懸命に消化し、「次に何ができるかを考えた」。

 W杯は欧州の辺境地を含む各地を転戦し、特徴の異なるジャンプ台に合わせる難しさがある。体力的にも技術的にも過酷な長期戦で、5戦を残して総合優勝を決めた圧倒的な強さ。五輪での敗北は衝撃的だったが、輝きが曇ることはない。(ルシュノフ時事)