東日本大震災の被災地、子供の体力低下が顕著
環境激変で運動に制約、手軽な筋力アップを指導
東日本大震災の被災地では、子供の体力低下が深刻化している。狭い仮校舎での生活やバス通学で体を動かす機会が減っており、教育関係者は手軽にできる運動を取り入れるなどして歯止めをかけようとしている。
岩手県が毎年実施している体力調査で、震災前の2010年度と13年度を比べると、沿岸部を中心に記録が低下。特に小6男子は、「20メートルシャトルラン」で5~6回、「ボール投げ」で2~3メートル平均記録が下がった。持久力と筋力の低下が目立ち、県教育委員会は「バス通学や、狭いグラウンドで体を動かす時間が減っている」と話す。
東北学院大の鈴木宏哉准教授のグループは、宮城県女川町で小4~中3の運動時間を調査。震災から半年の時点で、1週間に60分未満(体育の授業を除く)の女子が4割以上を占め、全国平均の約3割を上回った。その後の継続調査でも傾向はほとんど変わらないという。
運動部に所属している生徒は7割以上が週7時間以上運動しており、鈴木准教授は「体を動かす機会が少ない子供は、環境が変わらない限り体力の改善は難しい」と分析する。