夏の自宅療養は暑さ対策も必要、水分に注意を
重症化の兆候把握、冷房下でも換気適切に、専門家が指摘
新型コロナウイルスの「第5波」拡大に伴い、自宅療養者が急増している。厚生労働省によると、全国では18日時点で約9万7000人となり、1カ月で9倍に増えた。深刻な病床逼迫(ひっぱく)で入院できず、自宅で容体が急変し亡くなる例も。厳しい残暑の中、専門家は重症化の兆候を把握するとともに、適切な水分補給や換気の重要性を指摘する。
厚労省によると、緊急性が高い症状としては、息苦しさや脈の乱れ、顔色の変化などが挙げられる。保健所などが配る「パルスオキシメーター」を使い、血中の酸素量を示す酸素飽和度を測るのが効果的だ。96%以上なら軽症、93%超~96%未満なら中等症、93%以下なら中等症とされる。自宅療養中はこれらの情報を保健所などに報告し、急変時はすぐに相談する。
同居人がいるなら感染拡大防止策も重要だ。高齢者は重症化しやすく、妊婦は入院先の確保が難しい恐れがある。東京都がホームページで公開するハンドブックでは、部屋を分け、世話をする人を限ることを求める。このほか、▽互いにマスクを着用する▽ドアノブなどよく触れるものを消毒する▽ごみは密閉して捨てる-ことなどが有効だ。
この時期は暑さ対策も必要だ。一般社団法人「日本在宅ケアアライアンス」副理事長で医師の石垣泰則さんは、新型コロナのような発熱性疾患では、目安として1日1・5リットルの水分を小まめに取ることを推奨。「暑さが厳しく汗をかいた日は、さらに多く取るべきだ。マスク着用時は喉の渇きを感じにくく注意が必要」と強調する。
同居人への感染防止には、定期的な換気も有効だ。暑い日は窓を閉め切ったまま冷房を使いがちだが、2時間に1回程度のペースで窓を大きく開けて換気した方が良い。
石垣さんは「デルタ株では数時間で軽いせきから重度の呼吸不全に陥ることもある」と指摘。「激しいせきや嘔吐(おうと)、下痢などが続いたら、すぐ医師らに相談を」と呼び掛けている。