犠牲者悼み平和の祈り、浦上天主堂で早朝ミサ


200人の信徒らが参列、今も鳴り続ける「アンジェラスの鐘」

犠牲者悼み平和の祈り、浦上天主堂で早朝ミサ

76回目の原爆の日の朝を迎え、浦上天主堂で行われたミサで犠牲者のために祈りをささげる人たち=9日午前、長崎市


 
 76年前、原爆で多くの信徒が犠牲となった長崎市本尾町のカトリック教会浦上天主堂では9日早朝、追悼のミサが行われ、参列した信徒ら約200人が静かに祈りをささげた。

 午前5時半、ミサを知らせる鐘が長崎の町に響いた。信徒が集まると、聖堂は賛美歌やパイプオルガンの音で包まれた。

 久志利津男主任神父は、原爆で崩壊した教会のがれきから掘り出された「アンジェラスの鐘」を紹介。被爆の継承と平和を願い、この鐘が今も高らかに鳴り続けていると述べ、「原爆で亡くなった方の代弁者となって祈る私たちの姿を全世界に発信したい」と訴えた。

 毎年ミサに参加している長崎市の鈴田幸枝さん(69)は、原爆の犠牲となった父方の祖父母らに祈りをささげた。「新聞を読むと、世界の核兵器の多さにびっくりする。少しでも減っていけばいい」と語った。