空手・形の清水希容選手、0.18点の僅差での銀
迷いを払拭し完遂、微妙に乱れ宿敵のサンチェスに惜敗
「赤の勝ち」。青色の帯を締めた清水は、審判の声を聞くと静かに一礼した。0・18点の僅差で宿敵サンチェスに惜敗。「やっぱり金がよかった」。日本空手界初のメダルでも銀では満足できず、涙があふれた。
2項目を合計30点満点で採点する形。技の正確性などを示す技術点は同点だった。差を分けたのが、力強さやスピードを評価する競技点。スピードは得意分野だが、緊張で呼吸の乱れや焦りが出た。
2014、16年に世界選手権を連覇。その後はサンチェスの力強い演武に押され、18年大会で3連覇を阻まれた。徐々に技が縮こまり、昨年の全日本選手権では8連覇を逃した。
「迷いを払拭(ふっしょく)したかった」と訪れた先が、男子形の喜友名諒がいる沖縄の道場。世界王者の練習風景は、かつての自分の姿と重なった。「勝ち負けよりも、どれだけ成長できるかに重きを置いている。だからこそ、強い」
そして迎えたこの日。予選から他を圧倒する演武で決勝まで駆け上がり、最後はとっておきの形「チャタンヤラ・クーサンクー」を披露した。「どの形も、気持ちを込めて演武できた。そこはしっかり自分を褒めてあげたい」。迷いを振り切れたことは、少しだけうれしかった。