ボーン・上田賞に時事通信社の城山英巳氏


「尖閣諸島」に関する戦後日中外交史でスクープ

ボーン・上田賞に時事通信社の城山英巳氏

城山英巳氏

 優れた国際報道を通じて国際理解に貢献したジャーナリストに贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」の2013年度受賞者に20日、時事通信社中国総局(北京)の城山英巳記者(44)が決まった。

 城山記者は1993年時事通信入社。社会部、外信部などを経て02~07年と、11年から現在までの2回、計8年近く北京に駐在。第2次世界大戦後の日中両国間の外交史に関心を持ち続け、日中間の歴史に埋もれていた事実を、中国の外交史料館収蔵の外交文書や当時の関係者への取材で、数多く発掘した点が評価された。

 中国政府が1950年、沖縄県・尖閣諸島について「尖閣諸島」という日本名を明記した上で、琉球(沖縄)に含まれるとの認識を示す外交文書を作成していた事実も、城山記者がスクープした。

 こうした調査報道により、尖閣問題や沖縄をめぐる中国の立場が現在の主張と矛盾し、整合性、一貫性を欠いていることを立証する成果を上げた。

 また、日本通として知られる中国の王毅・元駐日大使の外相起用を内外メディアに先駆けて報じた点も、高い評価を受けた。

 授賞式は3月28日、東京・日比谷の松本楼で行われる予定。城山記者による受賞記念の講演会が同29日、横浜市中区の日本新聞博物館で予定されている。