萱和磨選手、苦労させた母に誓ったメダル
体操あん馬で 「銅」 、 こん身のガッツポーズで五輪を終える
体操男子の種目別あん馬で萱和磨選手(24)=セントラルスポーツ=が銅メダルをつかんだ。団体総合は銀。苦労させた母恵子さん(52)と約束した頂点には届かなかったが、五輪最後の演技をこん身のガッツポーズで終えた。
小学2年の時、アテネ五輪の冨田洋之選手の演技に憧れ、母に「これやりたい」とせがんだ。小学校時代に通った体操クラブではメンバーにも入れないほど。倒立は「バナナ」とやゆされ、一から基礎を教わった。ただ、情熱は人一倍。家族と行ったディズニーランドも倒立で歩くなど、生活全てが体操中心だった。
高校時代、生活は決して楽ではなかった。服飾関係のパタンナーだった恵子さんは「けがをすると学校から迎えに来てと言われるので、社員にならず、ずっと家で仕事してました」と明かす。腰痛持ちの息子のマッサージ代もばかにならず、徹夜で仕事をしたり、三つを掛け持ちしたりした。
正社員の仕事に就いたのは高校卒業後だ。「1位になって絶対大学の推薦取るからね」。萱選手はこう宣言し、全国高校選抜の個人総合で優勝するなど実績を残し、順天堂大行きを決めた。
恵子さんは大会前、神社に「和磨がけがしませんように」とお参りする。体操を始めた頃、試合が近づくと「眠れない」と言う息子を落ち着かせるため、連れて行ったのが始まり。名前には「調和し、自らを磨いてほしい」との願いを込めた。その名の通り、団体戦で主将としてチームをまとめ、約17年間、技を磨いた。