母国への思い果たせず、ペースを乱されミス連発
3回戦敗退の大坂、「他の試合で負けるよりもつらい」
女子シングルス3回戦で敗れた大坂は、取材エリアを通らずに帰ろうとして、関係者に呼び戻されてインタビューが始まった。「負けたことは悲しいけれど、ここ(五輪の舞台)にいられることは幸せ」。頬を涙が伝った跡があった。
ツアー大会で対戦経験のないサウスポー、ボンドロウソバの変則的なテニスにペースを乱された。打ち急いでは自らミスを重ね、第1セットを1-6で落とした。
第2セットは丁寧にラリーに持ち込み、機を見て強打をたたき込むなど、修正したかに見えた。しかし、相手のドロップショットに手を焼き、第1サーブの確率もいまひとつ。最後はサービスゲームを落としてストレート負けした。
「日本は私が生まれた国であり、大切な母国」と話していた大坂。人生の大半を米国で過ごしても、母を通じて日本の文化に触れたり、10歳から日本のラケットメーカーにサポートを受けたりと、遠く離れた地でも心は日本にあった。
今や日本を代表するアスリートになり、開会式では最終聖火ランナーを務めた。「他の試合で負けるよりもつらい」。偽らざる言葉だろう。
打ちのめされてもそのたびに立ち上がり、四大大会で4勝を挙げるまでに腕を上げた。23歳の大坂には、さらに強くなる時間が十分ある。