五輪マスコット選び、大統領選にそっくり
手袋と一体型帽子、子供たちに大人気
ソチ冬季五輪の公式マスコットは、ヒョウ、ホッキョクグマ、ウサギ。ロシアではぬいぐるみやキーホルダーなどの関連商品が山のように出回っているが、中でもソチの子供の間で人気が高いのは、手袋と一体型の帽子(写真)だ。
3匹のマスコットはどれもかわいいし、人気が出るのは当然だ。だが、その選出過程をめぐっては、実にロシア的な曲折があった。
2007年の五輪開催決定に沸き立った地元ソチの市民は翌年、独自に「スキーをはいたイルカ」をマスコットに選んだ。しかし、これは「却下」され、全国公募を行うことになった。そして2万4000点の応募作からネット投票でトップに輝いたのは、大きな目玉のカエル、「ゾイチ」だった。
だが、政権寄りの映画監督らから成る審査委員会のお気に召さず、これも「却下」。最終投票の結果、ヒョウが1位、ホッキョクグマが2位、ウサギが3位となり、結局3位まですべてが公式マスコットに認定された。
マッチョなプーチン大統領はトラなどの猛獣が大好きで、最終投票前に「ヒョウがいいね」と語った。この発言が票の行方を決定づけたのは言うまでもない。
このプロセスは、08年のロシア大統領選の寓話(ぐうわ)と言ってもいいぐらい、本質が共通している。政権の気に入らない政治家はいろいろな理由を付けて立候補を「却下」。プーチン氏が「いいね」と後継指名したメドベージェフ氏(現首相)が圧勝した。