男子3000m障害の三浦、アクシデントはねのけV


底知れぬ19歳、リオなら入賞相当の好タイムで日本新記録

男子3000m障害の三浦、アクシデントはねのけⅤ

男子3000㍍障害で力走する三浦龍司(手前)=26日、大阪・ヤンマースタジアム長居(時事)


 
 男子3000メートル障害の三浦がアクシデントを物ともせず、驚異的なタイムをたたき出した。残り2周の水濠(ごう)で障害を越えた後、着地のタイミングがずれて前に倒れ込んだ。「頭が真っ白になった」。これでスイッチが入った。

 すぐさま立ち上がり、「がむしゃらに前だけを見て走った」。武器とするスパートの切れ味は別格。抜かれた山口と青木をあっという間に逆転した。ストライドが大きく伸びやかな走りで差を広げ、障害は足を掛けずに飛び越えていく。5月の東京五輪テスト大会で18年ぶりに塗り替えた日本記録をさらに短縮する8分15秒99。右拳を2度、ぐっと握り締めた。

 3位以内で五輪代表に決まる立場でも、強気に日本記録を狙った。1000メートルすぎに自らペースアップ。転倒しながらも今季世界11位、前回2016年リオデジャネイロ五輪では5位に相当する好タイムを出し、初の五輪切符をつかんだ。「楽しみながらできた。すごく満足したレース」

 20年7月に当時の日本歴代2位の記録をマークし、脚光を浴びた。その後も進化は止まらず、「まだまだ自己記録更新は目指せる。世界と戦える準備をしたい」と頼もしく言った。底知れない潜在能力を秘める順大2年の19歳。五輪の大舞台でも、何かをやってのける雰囲気を漂わせた。