「白紙でも買う」、リンゴ日報への支援が広がる


幹部ら5人の逮捕を受け50万部を発行、最後まで戦い抜く

「白紙でも買う」、リンゴ日報への支援が広がる

18日、香港の新聞スタンドで「リンゴ日報」を買い求める女性(EPA時事)


  
 中国共産党や政府への批判的論調で知られる香港紙「リンゴ日報」は18日、前日の6倍以上に当たる50万部を発行した。17日に同紙の幹部ら5人が国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕されたことを受け、民主派の間に支援の動きが浮上し、インターネット上では「白紙でも買おう」という呼び掛けが広がった。

 18日付のリンゴ日報は1面で読者へのメッセージを掲載。取材資料の押収といった当局の手法により「香港の報道の自由は危機にひんした」と非難し、「社員は最後まで戦い抜く」と抵抗の意志を示した。繁華街の新聞スタンドでは未明からリンゴ日報の入荷を待つ人の姿が見られ、支援のため大量購入する市民もいた。

 逮捕された5人は、記事を通じて「中国や香港政府に対する制裁を外国に呼び掛けた」疑いが掛けられている。当局は18日、5人のうちリンゴ日報編集長の羅偉光氏ら2人を起訴し、関連3社に対しても起訴を通知した。

 リンゴ日報に捜査の手が伸びるのは、昨年8月の創業者の黎智英氏逮捕と大規模な家宅捜索に続き2度目だ。当局は今回、幹部の摘発だけでなく関連3社の資産凍結にまで踏み切っており、同紙を発行停止に追い込もうとしているとの見方が強い。

 国安法は個人だけでなく企業や団体にも適用され、第31条は、同法違反で刑事処分が科せられた場合、「運営の一時停止か営業許可証の取り消し」となると定めている。親中派からは「リンゴ日報そのものを取り締まり対象とすべきだ」との声も上がっており、中国共産党創立100年を迎える7月までに停刊となるとの観測も出ている。(香港時事)