新型コロナワクチン予約「西高東低」の謎
大規模接種、大阪会場はすぐ満杯に、気質を指摘する向きも
自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターで、大阪会場の予約枠が東京会場より早く埋まる「西高東低」の状態が続いている。東京はなかなか枠が埋まらず、28日には当初の予定を前倒しして対象を拡大。大阪特有の気質を指摘する向きもあるが、防衛省幹部は「なぜこんなにスピードが違うのか」と首をかしげている。
大規模接種センターの予約は、1週間ごとに対象地域を拡大して受け付けている。まず東京23区と大阪市に住む高齢者を対象として17日に予約を開始したところ、大阪会場の2万4500の枠は30分足らずで満杯となった。一方、東京の4万9000枠が埋まったのは18日夜だった。大阪の2倍とはいえ、東京枠がいっぱいになるまで1日半を要した。
24日には予約を東京都と大阪府の全域に拡大した。大阪の3万5000枠はまたもや約30分で埋まる一方、東京の7万枠は、27日午後3時時点で約1万8000枠が空いていた。このため防衛省は埼玉、千葉、神奈川の3県への対象拡大を28日に前倒し。1都3県内に居住実態はあるが住民票を置いていない人も加えた。
防衛省幹部は、東京会場の予約が進まなかった理由について、「都内は市区町村による接種準備が進んでいるからではないか」と分析する。実際、28日に対象を3県にも拡大すると、約50分で残りの枠がすべて埋まった。
一方、大阪会場の予約がなぜすぐいっぱいになるのか。防衛省幹部は「せっかちな『府民性』も原因かもしれない」と語るが、「『江戸っ子』もせっかちだ」(政府関係者)との指摘もあり、気質だけで「西高東低」の謎は解けなさそうだ。
大阪出身の中山泰秀防衛副大臣は27日の記者会見で「大阪にはものすごく切迫感がある」と別の見方を示した。現在は減少傾向にあるが、大阪は3月末以降、東京の感染者数を超える日が目立った。大阪府内の新型コロナによる累計死者数は28日時点で2260人と、東京の2048人を上回る。
防衛省は、31日以降も毎週、東京7万、大阪3万5000の予約枠を設ける方針だ。ただ、防衛省幹部は「今後も東京の枠が埋まらなければ、東西のバランスを考え直すことも選択肢となる」と話している。