創薬ベンチャー、コロナワクチンの国内治験へ
選択肢増加や技術の蓄積に期待、実用化への筋道を探る
新型コロナウイルスの克服に向け、創薬ベンチャーが国内でワクチンの臨床試験(治験)に乗り出した。米バイオベンチャーのエリクサジェン・セラピューティックスは20日、藤田医科大学(愛知県豊明市)で接種を開始。被験者60人で安全性や効果を確認し、実用化への筋道を探る。
大阪大発ベンチャーのアンジェスも昨年6月から国内治験を進めているが、非上場の小規模ベンチャーでは初めてとみられる。今夏には米VLPセラピューティクスも治験を開始する予定で、ワクチンの選択肢増加や技術の蓄積が期待される。
エリクサジェンのワクチンは、ウイルスの遺伝情報を伝える「RNA」を皮膚内に接種し、感染した細胞を破壊する「細胞性免疫」を高める仕組み。RNAは皮膚の温度で自己増殖するように同社の独自技術で最適化されており、添加剤も使わないため、安全性が高いという。
また、皮膚への注射のため痛みや人体への負担も軽いとみられる。最高科学責任者の洪実慶応大教授は「変異体にも強く、副反応やアレルギーも少ないのではないか」と予想する。
VLPが日本で開発中のワクチンは、自己増殖型RNAを使い少量でも効果があるのが特徴。日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けており、来年の実用化を目指している。