若手女優が演じる、和太鼓通じ描く少女らの青春


映画「藍に響け」、終始観る側に安心感を与えるさわやかさ

若手女優が演じる、和太鼓通じ描く少女らの青春

声帯を損傷し、ひとり太鼓を叩いていた新島マリア(久保田紗友、写真左)から誘われる松沢環(紺野彩夏)©すたひろ/双葉社©2021「藍に響け」製作委員会

 和太鼓の演奏を通じ、互いへの理解と絆を深めていく少女たちの青春ストーリーを、注目の若手女優らが演じた。

 ミッション系のお嬢様学校に通う松沢環(紺野彩夏)は、父の会社の倒産で引っ越しし、打ち込んでいたバレエも辞めざるを得なくなる。そのことを誰にも打ち明けられず、家族に内緒でアルバイトもしていたが、ある時、校内で聞こえてきた太鼓の音に吸い寄せられる。一人で太鼓を叩いていたのは、新島マリア(久保田紗友)だった。

 声帯損傷で声を出せないマリアだが、屈託のない笑顔で環に太鼓を始めるよう誘ってくる。はじめは拒否していた環だが、太鼓の音が忘れられず和太鼓部を訪れ、部長の江森寿(永瀬莉子)に毛嫌いされながらも入部することに。

 基礎的なトレーニングの意味を見いだせず一度は練習を飛び出すものの、追い掛けてきたマリアの特訓を受けてぐんぐん上達し、やがて寿や他の部員らとも和解していく。しかし、ある出来事をきっかけに、部全体に亀裂が生じてしまう――。

 モデルとして活躍中で今作が映画初主演の紺野と、NHK連続小説「べっぴんさん」などに出演し注目を集める久保田のW主演。共演にはドラマやCMで勢いのある若手女優・俳優ら、さらに濱田マリ、須藤理彩、筒井真理子、吹越満らベテランが脇を固める。

 思いをうまく表現できない環と、言葉を話せなくても積極的に気持ちをぶつけてくるマリアが対照的に描かれる。ミッションスクールの厳粛な雰囲気の中で、和太鼓を通して自己表現をする少女らのさわやかさは、終始観(み)る側に安心感を与えてくれる作品だ。

 原作は、すたひろによる漫画「和太鼓†ガールズ」(双葉社刊)。

 5月21日より新宿武蔵野館、渋谷シネクイント、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開。

 (辻本奈緒子)