米・台湾法40年、連携して中国の脅威に対処を


 米国が台湾関係法を制定して40年が経(た)った。中国の海洋進出は国際法に違反する領土問題を起こしており、中国共産党の覇権主義を警戒するトランプ米政権は、台湾をアジア地域において自由と民主主義を守る安全保障の要衝として重視している。日米、米韓、米比などアジアにおける米国の2国間同盟と同様に米台の絆が深まることを歓迎したい。

習氏が武力統一に言及

 米国は冷戦時代、ソ連包囲網を形成するため共産主義諸国から中国を取り込み1979年1月1日に国交を正常化、中華民国(台湾)と断交した。しかし、自由主義陣営の台湾に対する支持も強く、在台米軍撤退による軍事的不均衡も懸念され、同年4月10日に条約や外交上の協定などを維持する台湾関係法が制定された。

 その後の台湾は冷遇の時代が続いた。79年末のソ連のアフガニスタン侵攻で、米中は蜜月とも言える時代を迎えた。しかし、急成長した中国は軍拡を加速し、わが国の尖閣諸島や南シナ海の島々などへの領土的な野心を隠さず、強引な海洋進出に出ている。

 台湾に対しても、1月に習近平主席が「武力使用を放棄することは承諾できない」と述べ、武力統一を辞さない意思を表明した。3月末には中国戦闘機が台湾海峡の中台中間線を越えて台湾側に侵入した。異例のことであり、中国の軍事的圧力は台湾だけでなく、アジア・太平洋地域の平和を脅かすものとなり、看過できない状況になっている。

 一方、台湾は政治的にも民主主義国家としての形を整えてきた。1996年に国民が直接選ぶ総統選挙を実現し、以来、与野党が競う各選挙が実施され、民主的に政権交代も起きている。そのような民主主義の基盤となったのも同法により米国が台湾との関係を維持してきたからだ。制定40年を記念する米シンクタンクの国際会議でビデオ演説した蔡英文総統は、同法による米国のコミットメントで、太平洋地域における平和と安定、安全保障上の利益をもたらし、台湾に民主主義の基礎を築いたことを強調した。

 米国では、人権弾圧や統制支配を強化する中国に対して、経済成長によって民主化に向かうと歴代政権が楽観したことは誤りだったと反省する動きが超党派で高まっている。中国を抑止するため議会ではアジア再保証推進法、国防権限法を制定、台湾に対しても合同軍事演習の実施や、武器輸出枠拡大、外交関係拡大など米台関係を強化するための台湾保証法案が超党派で上院に提出された。

 また、大使館に相当する米国在台湾協会は米台の協力関係を深める協議機関を設置し、「自由で開かれたインド太平洋」地域の重要なパートナーと台湾を位置付けている。

日台の連携を強化せよ

 軍事力強化とシルクロード経済圏構想「一帯一路」で影響力を拡大する中国に対し、自由と民主主義を守る価値観を共有する諸国は結束していかなければならない。わが国も、今まで以上に台湾とのパイプを太くして連携していくべきだ。