新成人に望む、新時代を切り開く気概を
きょうは成人の日。新成人の数は125万人で前年より2万人増加した。5月には新天皇が即位され元号も変わる。新しい御代の担い手となる新成人たちの門出を祝したい。
大きく変わった世界
新成人たちは1998(平成10)年に産声を上げた。この20年間で世界と日本は大きく変わった。国際的には、民族・宗教紛争の激化、温暖化など地球環境の悪化、インターネットを中心とした情報通信革命、グローバル化など。わが国でも周辺国との摩擦や安全保障の危機が増大し、少子高齢化や人口減が社会の在り方を変えた。
東日本大震災が発生した2011年、新成人たちは13歳。日本社会が深刻な打撃を受け、人々が「絆」を合言葉に復興のため戦ってきた様を観(み)てきたはずだ。それらは思春期の忘れ難い体験、記憶として刻印されているに違いない。
そして今また、大きな変化のうねりが起きている。「米国第一」を唱えるトランプ米大統領の誕生や英国の欧州連合(EU)離脱などグローバル化を修正する動きがトレンドとなりつつある。一方でロシアや中国などの力による現状変更の動き、各国間の対立などが絡まり、世界の情勢はますます複雑で不透明になっている。またテクノロジーの発達が社会をいかに大きく変えるかを目の当たりにしてきたが、人工知能(AI)がもたらす変化は、想像を超えるものがあるかもしれない。
日本社会も、さらに大きく変わろうとしている。政府は人口減による労働力不足を補うため、外国人労働者の受け入れを大幅に緩和することを決めた。実質的な移民受け入れにも繋(つな)がる政策変更であり、社会の風景が変わる可能性もある。
民間の調査会社・マクロミルが、新成人500人に行ったアンケートによると、日本の未来について「明るい」と答えた人は37%、「暗い」は63%だった。明るい理由は「2020年東京五輪」「景気回復」など、暗い理由は「少子高齢化」などだった。
当然予想される反応とも言えるが、悲観的な見方が強いようにも見える。若い人たちが少子化を心配するというのもおかしい。これから結婚し家庭を築いていく自分たちが、もっと子供を産み育てていけばいいとは考えないのだろうか。
もちろんそれぞれの人生設計があり、また相手が必要なことではある。自分一人そう考えても社会のトレンドは簡単には変えられないかもしれない。しかし少子高齢化の波が絶対と考えるのは、若者らしくない。
このまま人口減が続けば、経済的な安定や豊かさは保障されず、民族としての存続すら危うくなる。そのことに危機感を持つことは正しいが、未来に対して悲観的になるだけではマイナスの影響しか与えない。
柔軟な発想と行動力で
新成人には、新しい時代を切り開くのは自分たち自身であるという自覚と、それを成し遂げてみせるという気概を持ってほしい。明治維新の中心となったのは若者だった。日本や世界が大きく変わろうとする今、何より若い人たちの柔軟な発想と行動力が求められている。