18年の日本 「気象の狂暴化」に対策が急務
前例のない広域集中豪雨による甚大な被害。地震が襲い、台風も暴れたこの1年は、気象・自然災害から身を守る大切さへの認識を新たにさせられた。日本漢字能力検定協会が公募した「今年の漢字」に選ばれたのは2004年に続き「災」である。
西日本豪雨で甚大な被害
本紙が選んだ今年の国内10大ニュースの1位は、7月の「西日本豪雨、死者220人」である。岡山など11府県で大雨特別警報が出て、河川の氾濫や土砂崩れなどで甚大な被害となった。
西日本は9月にも大型台風に襲われ、関西国際空港の滑走路が高潮で冠水。関連インフラなどがマヒした。また今夏は7月に熊谷市(埼玉県)で国内の観測史上最高気温41・1度を記録し、各地でも前例のない猛暑が長期にわたった。
気象災害による被害の甚大化は、専門家が警告してきたように地球温暖化との関連が明白と言わなければならない。温暖化は「気象の狂暴化」をもたらし、被害は地球全体に及んでいる。対策が急務であり、速やかかつ適切な避難行動で減災を図ることが求められるのである。
「北海道地震で震度7、道内全域で停電」(6位)となったのは、関空が冠水した2日後だ。胆振地方を襲った地震で死者が41人に上り、全道で電力が止まるブラックアウトが生活インフラをマヒさせた。本州との電力相互融通の備えなど、災害時の需給バランスの確保にも課題を残した。6月には震度6弱の大阪北部地震も発生。高槻市で倒れたブロック塀の下敷きになった小学生女児が死亡したことから、全国的に学校の高ブロック塀の改修が始まる契機となった。
相次ぐ災害に沈む心を奮い立たせてくれたのが、スポーツ界で明るいニュースが相次いだことだ。2月の平昌五輪で、日本は冬季史上最多のメダル13を獲得(3位)。フィギュアスケート男子の羽生結弦選手がけがを乗り越え五輪連覇の快挙を果たした。絶対的強さで金メダルに輝いたスピードスケート女子500㍍の小平奈緒選手や女子団体追い抜き(チームパシュート)、爽やかなチームワークで初の銅となったカーリング女子などが日本中の話題をさらったのだ。
このほか、日本人初の4大大会シングルス制覇となった女子テニスの大坂なおみ選手の全米オープン優勝、米大リーグでベーブ・ルース以来という投打二刀流の「同一シーズン50投球回数以上、15本塁打以上」達成と新人王獲得の大谷翔平選手の活躍も忘れ難い。
ノーベル生理学・医学賞に新しいがん治療法に道を拓いた京都大の本庶佑・特別教授が輝いた(7位)。25年万博の大阪開催決定(10位)も日本の未来の展望が明るいことを示唆して印象深いのである。
安倍首相が自民総裁3選
政治では、9月の自民党総裁選で安倍晋三首相が連続3選を果たした(2位)。油断ならない隣国に囲まれた日本が、国際社会で存在感を増す首相を戴くことのプラスを冷静に評価すべきだろう。「改正入管法が成立」(4位)、「オウム松本死刑囚ら元幹部の死刑執行」(5位)、「日産ゴーン会長逮捕」(8位)なども見逃せないニュースである。