東海第2原発、再稼働へ地元の理解を得よ
原子力規制委員会は、運転開始から40年を迎える日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)について、20年間の運転期間の延長を認可した。
運転延長認可は4基目
運転延長認可は、関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)、美浜3号機(同県美浜町)に続き4基目。東京電力福島第1原発と同型の沸騰水型原子炉(BWR)では初めてで、2011年の東日本大震災で被災した原発としても初となる。
東海第2原発は、再稼働に向けた規制委の安全審査には既に合格している。日本原電は運転延長のため、原子炉圧力容器など主要機器の劣化状況を調べる特別点検を実施。規制委は点検結果や今後の保守管理方針などを審査して妥当と判断した。
原子炉等規制法は原発の運転期間を40年と定めているが、規制委が認めれば1度だけ最長20年間延長できる。東海第2原発は今月28日に運転開始から40年となるため、前日の27日までに延長が認可されなければ廃炉になるところだった。
政府は今年7月に決定したエネルギー基本計画で、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けるとともに30年の電源構成における原発の比率を20~22%とする目標を掲げている。しかし全ての原発が運転開始から40年で廃炉となった場合、30年の比率は15%以下になる。20~22%を実現するには運転延長が欠かせない。
原電は安全対策工事が終わる21年3月以降、早い時期に東海第2原発を再稼働させたい考えだ。だが再稼働には、規制委の認可とは別に立地する東海村と周辺5市、茨城県から事前了解を得る必要がある。
首都圏唯一の原発である東海第2原発は、半径30㌔圏内に全国で最多の約96万人が住んでおり、事故の際の避難計画などに課題が残る。周辺5市の一つ、茨城県那珂市は今年10月下旬に「再稼働反対」の意向を表明している。
また、安全対策工事には1740億円がかかる見通しだが、稼働中の原発が1基もない原電だけでは資金を調達できない。このため、東電と東北電力が資金支援を行う方向で調整が進んでいる。だが、自身も国の支援を受ける東電が原電に資金を出すことには根強い批判がある。東海第2原発の再稼働を実現できるかは不透明だ。
東海第2原発の再稼働に向け、原電は「地元への丁寧な説明に努めたい」(幹部)としている。原発の必要性について理解を得ることが求められる。
わが国にとって原発の存在はエネルギー安全保障の観点からも重要だと言える。原発の燃料となるウランは政情の安定した国々に埋蔵しているため安定的に確保でき、石油や石炭と比べて格段に少ない量で同規模の電力を生み出せる。発電時に二酸化炭素(CO2)を排出しない原発は、地球温暖化対策にも利用できる。
技術の着実な継承を
東海第2原発は東日本大震災後、停止した状態が続いているため、運転中の状態を知らない若手職員も増えているという。再稼働を実現し、原発技術を着実に継承していく必要がある。