皇太子御夫妻銀婚式、支え合う御姿は国民の師表
皇太子殿下と雅子殿下が銀婚式を迎えられた。心からお祝い申し上げたい。
来年5月に天皇御即位
「結婚の儀」の後のパレードで沿道を埋めた19万人をはじめ国民から祝福を受けられた皇太子御夫妻が新生活をスタートされてから25年。雅子殿下の御療養などさまざまな出来事に見舞われながらも、共に支え合われてお務めを果たしてこられた。国民も御夫妻に深い共感を覚えながらきた。
御夫妻は1986年10月、東宮御所で行われたスペインのエレナ王女の来日歓迎レセプションの場で初めて出会われた。92年8月に約5年ぶりに再会され、93年1月の皇室会議で御婚約が内定した。
皇室に嫁がれることに不安を感じておられた雅子殿下を動かしたのは、皇太子殿下の「僕が一生全力でお守りしますから」というお言葉であった。皇太子殿下は、このお約束を変わらず果たそうとしておられる。
2001年12月には愛子殿下が誕生された。しかし、雅子殿下は03年12月に帯状疱疹を発症され御入院。これを機に長期療養入りされ、適応障害の治療は今も続いている。
この後は皇太子殿下が単独で御公務に臨まれることが多くなったが、13年4月に御夫妻でオランダの国王即位式に御出席。雅子殿下にとっては実に10年4カ月ぶりの海外御公務となった。15年には秋の園遊会にも12年ぶりに出席された。
銀婚式に先立ち、両殿下は宮内記者会の質問に文書で回答された。皇太子殿下は雅子殿下について「大変なこともある中で、色々な努力を続け、私と愛子をしっかりと支えてくれており、心から感謝しています」と述べられた。一方の雅子殿下は皇太子殿下に「私が体調を崩しましてからも、いつも優しく、お助けいただいてきていることに心から感謝申し上げたいと思います」と謝意を表されている。
皇太子御夫妻としてのお立場やお務めの中で、さまざまな困難を克服してこられた背景を思うと、実に重い意味合いを持つお言葉である。共に支え合われる御夫妻、強い絆で結ばれた御家族の御姿は、国民の師表となるものである。
御夫妻は東日本大震災後、繰り返し被災地を訪問され、被災者を励ましてこられた。これは天皇、皇后両陛下から学ばれたものであり、「国民と苦楽を共にする」というわが国皇室の伝統に根差すものである。その伝統を両殿下が大切にされていることは、実にありがたく心強い。
御夫妻は来年5月、新天皇、新皇后となられる。皇太子殿下は次の時代の皇室の在り方について「長く続いた伝統を継承しながら、現行憲法で規定されている『象徴』としての天皇の役割をしっかりと果たしていくことが大切」であるとされ、「社会の変化に応じた形で、それに対応した務めを考え、行動していくことも重要」と語られた。
御回復を見守りたい
雅子殿下は御公務を完全にはおできになれない状況が続いている。皇太子殿下が希望されるように、われわれ国民は雅子殿下の御回復を長い目で温かく見守っていきたい。