17年の日本 北朝鮮による国難に直面


 1年のニュースを振り返り今年の日本を総括すれば、本紙の選んだ「今年の10大ニュース・国内」には挙げられていないが、弾道ミサイル発射や核実験を強行する北朝鮮による国難に直面した1年だった。

めぐみさん拉致から40年

 今年はまた、北朝鮮による横田めぐみさん(当時13歳)拉致事件(1977年=昭和52年)から40年となる節目の年でもあった。初来日したトランプ米大統領(本紙10大ニュース3位)が被害者家族らと面会し、国連演説でも取り上げたほか、北朝鮮をテロ支援国家に再指定するなど国際世論が高まりを見せたが、被害者を取り返すめどは立っていない。この問題への関心を持ち続けることが必要である。

 今年の世相を表す漢字1文字に「北」が選ばれたのも、緊迫化の度合いが臨界点に近づいている北朝鮮情勢を反映したものだ。そして国難は、新しい年にも引き続き心に重くのしかかってくるのだ。

 本紙が選んだ今年の10大ニュースの1位は「天皇御退位、2019年4月末に」である。陛下の御退位を実現する特例法は6月に成立。政府は皇室会議の意見集約を受け、12月に御退位の日を2019(平成31)年4月30日とする政令を決定した。翌5月1日に皇太子殿下が即位され、新しい元号がスタートする。

 政府は菅義偉官房長官を中心とする委員会で元号の選定などの検討を本格化させ、来年中には新元号を発表する運びだが、スムーズな代替わりを万全の準備で進めてもらいたい。

 皇室の慶事は、秋篠宮家の長女、眞子内親王殿下と学生時代の同級生、小室圭さんの御婚約が内定したことである(5位)。9月の記者会見で、お二人が見つめ合われる時のこぼれるような笑顔に、日本中が沸いた。

 国難に直面する今、日本の政権運営を誰に託すのか。10月の衆院選は、284議席を獲得した自民党が大勝した(2位)。公明との与党は計313議席となり、憲法改正の国会発議に必要な3分の2以上の議席を維持。民進党は、小池百合子東京都知事の希望の党、そこから排除されて立ち上がった立憲民主党、無所属に分かれての争いとなり、立憲が野党第1党となった。

 この間、野党は国会で、森友・加計学園問題での首相関与を言い立てた。安倍内閣支持率は一時、急落したが、国難をよそに確証もないままの追及の繰り返しは、かえって国政の停滞を招いたのである(4位)。

 社会では若い世代の活躍が日本を明るく彩り、未来への希望と可能性を広げた。陸上100㍍で桐生祥秀選手(22)が9秒98と日本人で初めて10秒の壁を破る快挙をなし遂げた(6位)。将棋では中学生の最年少棋士、藤井聡太四段が昨年10月のプロデビューから公式戦を勝ち続け、6月に14歳で29連勝を達成。30年ぶりに歴代最多連勝記録を塗り替えた(10位)。

若い世代の活躍が楽しみ

 このほか、バドミントンの世界選手権女子シングルスを制した22歳の奥原希望選手、ワールドツアー大会で14歳61日の史上最年少優勝を果たした卓球の張本智和選手らも東京五輪に向けて楽しみな選手である。