白鵬通算最多勝、向上心が生んだ偉大な記録


 大相撲の横綱白鵬が新たな金字塔を打ち立てた。名古屋場所13日目に大関高安を破って序ノ口からの通算勝利数が1048に達し、元大関魁皇(現浅香山親方)を抜いて歴代単独1位となった。偉大な記録の達成を心からたたえたい。

 1048勝の金字塔

 これまでも白鵬は幕内優勝や年間最多勝の回数など多くの歴代1位の記録をつくってきた。きょうの名古屋場所千秋楽で優勝すれば39回目。2位の元横綱大鵬の32回をさらに引き離すことになる。

白鵬

歴代単独1位となる通算1048勝目を挙げ、花束を手に喜ぶ白鵬=21日、愛知県体育館

 しかし、その中でも通算1048勝は大変な記録である。16歳で角界入りした白鵬は、年間80勝以上が4度というハイペースで白星を量産してきたが、それでも16年以上かかった。並の力士では、とても追い付けない数字だ。

 この偉業を、不振が続けば進退を問われる横綱の地位で成し遂げたところに大きな価値がある。最近はけがによる休場も目立ったが、ここぞという時の安定感はさすがである。

 こうした強さの背後には、白鵬の素直さと謙虚さがある。どれほど実績を積み重ねても、勝つためであれば周囲の助言に真摯(しんし)に耳を傾けるという。あくなき向上心が通算最多勝達成の原動力となったのだろう。

 2007年に横綱になった白鵬が白星を積み重ねた時期は、野球賭博や八百長問題などの相次ぐ不祥事が相撲界を揺るがした。野球賭博の発覚した10年に白鵬は史上2位の63連勝を達成。八百長問題では11年春場所が中止に追い込まれたが、同年6月には東日本大震災の被災地で1日2度の土俵入りを披露するなど相撲界を代表して復興支援に尽力した。

 国技存続の危機の中、外国出身の白鵬が一人横綱としてひたすら精進し、相撲界の屋台骨を支え続けた姿には頭が下がる。相撲人気が回復したのも白鵬の貢献が大きいと言える。

 現在の相撲界は4人の横綱がいずれも30代である一方、若手力士が台頭して世代交代が進みつつある。

 しかし、白鵬の活躍は当分続きそうだ。目標は2020年東京五輪までの現役続行だというが、今の調子であれば十分達成できよう。

 少年相撲の国際親善大会「白鵬杯」を開催するなど、相撲の普及にも力を入れている。将来的には日本国籍を取得し、親方として後進を指導することを希望している。角界の未来を担う力士に、挑みがいのある記録を残したいとの思いもある。

 白鵬が00年にモンゴルから来日したころは、身長が1㍍74、体重が62㌔の細身の体つきだった。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)からは「牛乳を毎日4、5㍑飲め」と言われたという。その少年がこれほどの偉大な横綱となったことは、力士を目指す子供たちにも大きな励みとなろう。

 心技体で若手の手本に

 優勝40回、横綱在位63場所、そして史上初の幕内1000勝など、白鵬の記録への挑戦はこれからも続く。

 さらなる高みを目指すとともに心技体すべての面で若手力士の手本となってほしい。