共同開発ミサイル、日米は一層の防衛体制強化を


 日本と米国が共同で開発した新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」について、米国のロバート・スーファー国防次官補代理は、北朝鮮を念頭に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を想定した初の迎撃実験を今年の夏に行う方針を明らかにした。

 米本土を射程に入れるICBMを保有する北朝鮮は、核兵器の弾頭化を着々と進めてきた。日米はミサイル防衛体制の一層の強化に向けて連携を深めるべきだ。

北朝鮮念頭に迎撃実験

 北朝鮮は近年、新型弾道ミサイルの発射実験を繰り返し、核弾頭を搭載して日米を攻撃できる中・長距離弾道ミサイルの発射能力を示してきた。スーファー氏は「われわれは北朝鮮がICBMで米本土を攻撃する技術的能力があると見ており、対処しなければならない脅威だ」と述べた。

 北朝鮮は2018年4月、核実験とICBM発射の中止を決定した。だが情勢次第では再開することも十分に考えられ、決して油断することはできない。

 SM3ブロック2Aは短距離から中距離の弾道ミサイル迎撃を想定して開発されたが、より高速で飛ぶICBMの迎撃に利用できる可能性がかねて指摘されていた。米国防総省は昨年に発表したミサイル防衛戦略の中で、ICBM迎撃のために従来の地上配備型の迎撃ミサイルに加え、海上配備型のSM3ブロック2Aも投入する方針を打ち出した。

 米議会も実験を行うよう求めていた。迎撃能力が実証された場合、同盟国やイージス艦への配備だけでなく、米本土の地上配備型迎撃システムへの導入も検討するという。

 米政府は昨年8月、このミサイルを日本に73発売却することを承認した。日本は、新たに導入する陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」やイージス艦に搭載する予定だ。日本も米国と歩調を合わせ、ミサイル防衛能力をさらに向上させていく必要がある。

 一方、新型コロナウイルスの影響で、防衛省がイージス・アショアの配備候補地選定に向け青森、秋田、山形3県で実施している再調査の期限が、4月末から5月末に延期された。配備計画は地元の反発もあって進んでいない。政府は配備の必要性を丁寧に粘り強く説明しなければならない。

 新型コロナの感染が拡大する中、北朝鮮は3月に4回、4月にも1回、短距離弾道ミサイルを発射した。感染拡大に乗じて挑発を強める動きは、北朝鮮だけでなく中国にも見られる。日米は可能な限り共同訓練などを実施し、隙を見せないことが求められる。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の健康不安説が浮上する中、不測の事態にも備えるべきだ。

技術共有の意義大きい

 弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮を念頭に、日米の連携・協力の下でミサイルの研究開発を進めてきたことは、さらなる同盟強化につながる。

 開発・製造を通じて培われる先進的な技術、ノウハウの共有を考慮すれば、わが国の防衛産業にとっても日米共同開発の意義は大きいものがある。